「廉、うるさい」
あたしは、隣に寝転がる上半身裸のままの筋肉質な体を小突く。
蓮咲廉。(はすざきれん)
別に彼氏なんかじゃない。こんなのが彼氏なんて絶対嫌だ。
廉は煙草に手を伸ばしてから、鼻歌なんか歌いながら機嫌が良さそう。
「…いいことあったんでしょ?」
聞かなくても分かるけど。
「うん?分かる?茜ちゃんってばさすが♪」
軽い口調に細める目が、似合い過ぎて腹立つ。
「雪乃ちゃんと、これからデート?」
こいつの機嫌がいい理由。
あたしを抱いたすぐ後に、違う女を口説くなんてデリカシーの欠片もない男。
どうだっていいけど。