──────もうすぐ廉が目を覚ます。


あたしは廉のタバコの箱を眺めながら、それに手を伸ばした。

火をつけるのも、吸うのも廉のライターと煙草。


キツメの煙を肺に吸い込んで、クラクラする余韻を遊びながら、あたしは廉のサラサラの髪を眺めた。


慣れって不思議だと思う。何がいいのか分からなかった煙草の味も覚えたし、廉の身体も、もしかしたら廉自身にも、あたしが思うよりずっと執着してるのかもしれない。




「…ん、茜ちゃん?」



眠っていた廉はまだ重たそうな瞼を開けようとしながらあたしを探す。



「…起きた?」



あたしは煙草の灰を落としながら、廉の唇に煙草を持っていく。





「…ありがと」



廉が目を細めて笑った。