「廉、あんた『雪乃ちゃん』は?」


隣で当たり前の様に機嫌が良さそうな廉に意味が分からない。


「うん☆うまくいってるよ?」


…じゃあ何でここにいんだよ。


あたしの視線で感じ取ったのか


「雪乃ちゃん、今日はお茶の教室だって」


サラリと『雪乃ちゃん』と一緒にいない理由をいう。だからって、あたしと帰る意味はないだろ。


大体、いつもこいつはそう。



何考えてんのかなんて、さっぱり分からない。



「そのまま茜ちゃんち行っていー?」


人懐っこく目を細めて、整った顔立ちによく似合う薄い唇をニッと曲げた廉はまた、当たり前のようにそう言った。