――――――――――――――…

「茜ちゃんー♪帰ろー」

帰り支度を始めるザワザワした教室に反抗するみたいな声。


よく透き通るその声に、自然に注目が集まるのは、『声』がデカいとかそんなんじゃなくて単にこいつが有名人だから。


「茜、迎えにきてんよ」

ニヤニヤとあたしの制服を引っ張りながら幼なじみの香織はそれを楽しそうに眺める。


あたしは舌打ちをしてから、黒々とした頭の中で一際目立つ廉の茶髪を見つけた。