「根岸、」


先生の低い声に視線を上げる。


「なんだ?」


視線に気づいてたのか先生は眉を寄せた。


「いえ、綺麗な指だと思って」



あたしは素直に口にする。長い指先も形良い爪も、綺麗だから。



先生は一瞬眉を上げてから、今度は愉しそうにあたしを見つめた。


よく、表情が読めないと言われる。基本的に無表情だからだと思う。


だけど、この瞳の前では、何でも見透かされそうな気がする。



例えば、あたしが今、この人はどーやって女の人を抱くんだろうとか考えてるなんて事。