放課後、シンは学校の裏庭で仮眠をとっていた。
夕暮れの陽光が、顔に当たる。
「ブルルッ」と耳元の携帯電話が震え、液晶画面に『メール受信』の文字が表示された。
「…っ!!」
シンは眉をひそめる。
『神園ひかり』から送られてきたとされるメールには、『今すぐ、一人で高等部のグラウンド倉庫に来い』と書かれていた。
状況を察したシンは、間をおかず立ち上がり、駆け出す。
そして、校舎の脇から校庭へ出る。トラックを突き進み、人気のない雑木林の中の倉庫に着くと、息を整えた。
戸口に手をかけて開くと、鈍い金属音を発した。
薄暗いために目を細めた瞬間、電気が一斉に点く。
「結構早かったなー」
石灰の袋が積み重なる上に腰掛けている男たちが、五人ほどいた。皆、高等部の制服である。
「…お兄ちゃん!!」
後ろ手に捕らえられているヒカリが、別の男子生徒に連れられ、物陰から出てきた。
「大丈夫か??」
「うんっ…でも、お兄ちゃんがっ…早く逃げて!!
」
シンの呼びかけに、ヒカリは涙ぐんでいる。
「そーゆー訳にはいかないよねぇ、お兄ちゃん。大事な大事な妹なんだから」
オフホワイトの携帯電話をつまんで、男子生徒たちの先頭に位置する男が言った。
「用件は何だ」
シンは冷静に切り出した。
にやり、とリーダー格の男が笑う。
「調子に乗ってる新入生に、ルールを教えてやろうと思ってね」
男の声と同時に、扉から制服の男たちが数人入ってきた。
容姿端麗、成績優秀、運動神経抜群―――
意思には反し、シンは目立つ存在らしい。
中等部にいた頃も、似たような理由で上級生に囲まれた経験があった。
その際、大勢を一人で倒したことが後に学内で有名になり、以来そういった連中は寄りつかなくなってはずだったが―――
「やるならやれよ…ヒカリには手を出すな」
息をつき、シンは全身の力を抜いた。
「だめ!!逃げてぇ!!」
悲鳴にも似た、ヒカリの訴えが響く。
次の瞬間、シンの腹を激しい痛みが襲い、思わず咳き込んだ。
夕暮れの陽光が、顔に当たる。
「ブルルッ」と耳元の携帯電話が震え、液晶画面に『メール受信』の文字が表示された。
「…っ!!」
シンは眉をひそめる。
『神園ひかり』から送られてきたとされるメールには、『今すぐ、一人で高等部のグラウンド倉庫に来い』と書かれていた。
状況を察したシンは、間をおかず立ち上がり、駆け出す。
そして、校舎の脇から校庭へ出る。トラックを突き進み、人気のない雑木林の中の倉庫に着くと、息を整えた。
戸口に手をかけて開くと、鈍い金属音を発した。
薄暗いために目を細めた瞬間、電気が一斉に点く。
「結構早かったなー」
石灰の袋が積み重なる上に腰掛けている男たちが、五人ほどいた。皆、高等部の制服である。
「…お兄ちゃん!!」
後ろ手に捕らえられているヒカリが、別の男子生徒に連れられ、物陰から出てきた。
「大丈夫か??」
「うんっ…でも、お兄ちゃんがっ…早く逃げて!!
」
シンの呼びかけに、ヒカリは涙ぐんでいる。
「そーゆー訳にはいかないよねぇ、お兄ちゃん。大事な大事な妹なんだから」
オフホワイトの携帯電話をつまんで、男子生徒たちの先頭に位置する男が言った。
「用件は何だ」
シンは冷静に切り出した。
にやり、とリーダー格の男が笑う。
「調子に乗ってる新入生に、ルールを教えてやろうと思ってね」
男の声と同時に、扉から制服の男たちが数人入ってきた。
容姿端麗、成績優秀、運動神経抜群―――
意思には反し、シンは目立つ存在らしい。
中等部にいた頃も、似たような理由で上級生に囲まれた経験があった。
その際、大勢を一人で倒したことが後に学内で有名になり、以来そういった連中は寄りつかなくなってはずだったが―――
「やるならやれよ…ヒカリには手を出すな」
息をつき、シンは全身の力を抜いた。
「だめ!!逃げてぇ!!」
悲鳴にも似た、ヒカリの訴えが響く。
次の瞬間、シンの腹を激しい痛みが襲い、思わず咳き込んだ。