翌日―――

昼休み、シンの元へ、ミツキとハルが訪ねてきた。

「昼メシ、一緒に食べよーぜっ」

上機嫌なミツキは、空席となった椅子に跨がる。

「作戦会議も兼ねてな」

同じく生徒のいない席へ、ハルが座った。

シンは無表情のまま、ため息をつく。

「そういえばさ、ヒカリちゃんは大丈夫かな??犯人に一番近いんだろ??」

ミツキが、心配そうにシンに問いかけた。

「それなら、最初に俺を狙ってきた意味がなくなる」

揺るぎない冷静な口調で、シンは答える。

「同感。あえて悪条件を選んでまで、狙ってきたんだ。お前や俺達じゃなきゃならない、理由があんだろうな」

片手を上げたハルが、シンの考えを後押しした。

一気に進む論理に、ミツキは黙って頷くばかりである。

「んで…俺達が気を付けることは??」

ハルがシンと対面するように身体の向きを変え、尋ねた。

「常に防壁となる物を意識して、極力単独行動は避けろ」

そっけなく言い切ると、シンの手が机のフックにかかる鞄に移る。

「それって、お前もこれからは、俺達と行動するってことだよな??」

ハルの問いで、シンもミツキも動作を止めた。

「俺は、」

「そっか!そうだよなっ」

反論しようとするシンの脇で、ミツキは明るい声色を出す。

「アタシらが一緒にいれば、最強じゃんっ」

乗り気になっているミツキを見たシンが、再びため息を漏らした。

ハルは、楽しんでいるかのように笑う。

「アタシ、考える方では役に立てないけど、運動神経には自信あるからっ。犯人の追跡とかなら、任せろっ」

目を輝かせんばかりに、ミツキが得意げに語った。

その横で、ハルは笑みを浮かべて頬杖をついている。


「…犯人を捕まえるまでだ」

妥協ラインを表明すると、シンは渋々承諾した。