「は?誰に当てられたんだよ?」

急に声のトーンが低くなる貴ちゃん。

「別に誰にとかじゃなくて、試合中に私がぼーっとしちゃってただけだから」


私ちゃんと笑えてるかな?

「…けんな」

「え?」

貴ちゃんの言葉が聞き取れなくて、何を言ったか気になって考えてみた。

なんなんだろうと思った瞬間私の体は宙に浮いた。


――え?浮いた!?


何故か貴ちゃんが私を、抱えている。俗に言うお姫様だっこをしているのだ。

訳がわからない。

「ちょ、貴ちゃん何してんの?降ろしてよ!」

そのまま、ベッドに近づいてゆく。

「ねぇ、ちょっと!」

そして、ベッドに降ろされる私。割れ物でも扱うかの様な優しさで寝かされる。私は訳がわからず頭と心臓はパンク寸前。


「ほら、当たったとこ見せてみ?」


そう言って私の前髪に優しく触れる貴ちゃんの、手。

「え、ちょっと、だ、大丈夫だから!!」

「大丈夫じゃないだろ。ほら、よく見せてみろって」


みるみる貴ちゃんの顔は近づいてくる。どおしよう!