20XX年12月18日


最近、やたらと理人が絡んでくる。

席替えして隣になったんだよね。

別に今しなくても、三学期になってからで良いじゃん。

俺はマジメに授業聞かなきゃやべぇのに、ずっと横からジャマしてくる。

「なぁ、23日の夜ひま?」

「お前とは遊ばねえ。」

クリスマス間近に誰がお前と遊ぶか。

「これ。」

俺の言葉を無視して、差し出されたのは長方形の紙。

受け取って見てみると、紫の文字で「KEYL04th-Christmas Live-」と書かれていた。

「ライブするから見に来いよ。」

「だれが?」

「俺が。」

チケットと理人を交互にみる。

「………バンドしてたんだ。」

「おう。23日の6時から。場所は―……」

「ここ地元だから分かる。」

チケットの裏に簡単に書かれた地図は確かに俺の地元だ。

「地元なら近いだろ?絶対来いよ!」

「んー、考えとく。」

23日は部活も午前中だしヒマだ。

理人の言うとおり地元だから近い。

でも、地元だから行きたくない。

中学の時は喧嘩ばっかして、今みたいに友達いなかったし……。

数少ないかつての部活仲間たちも、高校になったらお前たちとはバンド組まないっつってから、疎遠になってそのままだし……。

なにより………。

―――琉生を愛してるのは俺だけだよ。

結也(ゆいや)さんがいるかもしれない。

……って考えるだけで行きたくねぇな。

でも、理人や中学ン時の奴らがバンドしてんのは見てみたいかも。

とりあえずチケットは無くさないように、日記に挟んでおこう。