あたしの誕生日まであと2日という

ある日、あたしはお母さんに言った。

「…もう辛いよ」

初めて見せた弱音だった。

「……みさき…」

もう治療をやめたかった。

見込みがないのにこんなに辛いのが

本当に嫌だったんだと思う。

「あたし…まだ頑張んなきゃだめ?」

「……」

あたしは窓の外を見ながら言った。

お母さんを見てないけど泣いてるのは

なんとなくわかった。

「…みさき…が辛いなら…」

治療をやめるのは…もう残りを

本当の自分でいたいって意味。

本当の自分で隆と向き合いたい。

「…お母さん、あたし治療やめたい」

あたしは初めてその時お母さんを見た。

涙で顔がぐちゃぐちゃだった。

「ごめんね」

そう言ったあたしをお母さんは

ぎゅうって抱きしめた。