「んじゃ俺学校行くね」

1時ちょうどに隆は立ち上がった。

「うん。ありがとうね。頑張って」

隆が病室を出るのと同時くらいに

お母さんが入ってきた。

お母さんはさっきまで隆が座っていた

椅子に座った。

「…みさき…どうするの?」

「…隆には言えない」

「でも…このままじゃ傷つくのは

隆君なのよ?」

「わかってる。でも今言ったら隆は

休学すると思う。頑張ってる隆に

そんなこと言えないよ…」

お母さんは黙った。

あたしも窓の外を見た。ちょっとづつ

小さくなる隆の姿。

…あたし頑張ってる隆が好きなんだ。

「ねぇ、お母さん?」

「…どうしたの?」

「……あたし、誕生日まで生きられる?」

お母さんは一瞬目を逸らした。

あたしは笑った。「頑張るね」って

一言言って笑った。