後は白紙に茶色がべっとり付いていた。
ああ、そうか。
これはわたしのお母さんの日記なんだ。
今まで知らなかったことがたくさん書いてある。
新発見。
でも、どうして知らないことがあるんだろう。
そう考えていると、奥から同じ茶色が付いたものを見つけた。
――包丁。
手に取る。
おそらく、これが『あの家族』を。
わたしを今の状況に至らしめた凶器。
これがわたしの両親を間接的に奪ったのか。
……憎い。
恨めしい。
でも、どうしてこのまま放ってあるんだろう。
包丁を手に取る。
刃はもう錆付いてしまっていた。
木の柄には、手形が付いていた。
これが『あの家族』を、わたしの両親を苦しめた者たちを殺めた人間の手形。
お父さん……にしてはサイズが小さい。
お母さん……なの?
恐る恐る、手を合わせる。
――今のわたしよりも小さかった。
――おかしい。
当時の宮辺さんは今のわたしよりも年上のはず。
この手形は宮辺さんではない。
『あの家族』を死に至らしめ、わたしの両親を奪った犯人は、大人にしては手が小さい。
だから、その犯人は子供となる。
そのとき、そこで、子供と言えば、誰?
え?