「願いは叶う、願えば叶う。だというのにその力はお目にかかれ」
「ごちそうさまでした」
宮辺さんが長話している間に食べ終わってしまった。
「あ、うん」
宮辺さんとは深く関わらないようにしている。
それがお互いを傷つけない最善の方法だから。
食事の後片付けは宮辺さんがしてくれるので、わたしはそのままダイニングをあとにした。
わたしは家の中ではほとんど自分の部屋で過ごす。
宮辺さんの仕事は研究。
それも机の上での仕事がほとんど。
だから、宮辺さんは大概家の中にいる。
顔を合わせると気まずくなるから、わたしは自分の部屋から出られずにいた。
わたしにとって家は身を整え、寝るだけの場所なのだ。
暇な時間は勉強する。
他に何もすることがないから。
宮辺さんに頼んだら、きっと何でも買ってくれる。
だけど、きっと迷惑だろうから何も買ってもらわない。
慎ましくあるべきなのだ。
交わらずにあるべきなのだ。
……親の仇同士なのだから。