わたしは今、いとこの宮辺さんと一緒に暮らしている。
お互い、傷に触れないようにしながら。
腫れ物に触れるように暮らしている。
――わたしは毎日、自分にそう言い聞かせている。
本当は、一人でいるのが寂しい。
家に帰っても一人なのが寂しい。
お母さん……。
……もういないよ。
お父さん……。
……もういないよ。
わたしは、一人。
わたしに家族はいない。
……だけど、いや、だからわたしはたまに願うことがある。
本当は願っちゃダメなんだけど、少し願いたい。
――わたしに家族をください、と。
誰か、わたしに本当の家族をください。
暖かい家庭を。
つまらない話でも笑いながら話し合える家族を。
わたしに、ください。
そのあと、いつもわたしは後悔する。
だって、願っても叶わないのだもの
それに、願ってはいけないのだもの。
わたしのことを幸せにしてくれるはずだった両親が、わたしに残した現実がこれだから。
多分これが、わたしにとって一番の幸せなんだろう。
これ以上にない幸せなんだって。
幸せなんてこれ以上ないんだって。
いつもわたし自身に言い聞かせている。