追いかけて、着いた場所。
それは展望台だった。
山を少し登ったところにある場所。
そこからは、学校、駅から海までこの町全部が見渡せた。
この町が、そこにあった。
カクさんはそこから町を眺めていた。
ただ、その目はまるで別のものを見ているかのように遠かった。
まるで、異世界を見ているかのような、そんな気がした。
だからカクさんがとても遠くに感じられて、
「……カクさん」
思わず、その名を呼んでしまっていた。
「カナコちゃん。……ついて来てたの?」
カクさんは驚いたように見えた。
「はい。……ごめんなさい」
尾行していたことを謝る。
「別に謝ることじゃないよ。むしろ、カナコちゃんがついて来てくれて嬉しい」
そう言ってくれた。
「寒くない?」
そういえば、寝巻きのジャージのまま出てきてしまった。
夜が明けてない外は寒い。
そこへ……カクさんは着ていたジャケットをかけてくれた。
「……ありがとう」
カクさんが寒くならないか少し心配だった。