早朝。

いや、まだ夜が明けていない時間。

わたしは目が覚めた。

なんだか、胸騒ぎがする。

どうしてだろう。

どうしてこんなに寂しい気持ちがするんだろう。

わたしは不思議でたまらなかった。



そのとき、物音が聞こえた。

玄関の扉が開く音。

それは閉ざされ、鍵が閉められる。

それから、遠くで足音。

カクさんが出て行ったの?

どうしてこんな時間に?

また仕事だろうか。

わたしは気になった。

……ついて行こう。

カクさんに迷惑かもしれないけど、知りたいとも思った。

カクさんが追い求めていたものを。



普段からジャージで寝ているので、そのまま家を出る。

少し遠いけれど、カクさんが見えた。

すごくゆっくりとした足取りで。

わたしは遅れないように、それから気付かれないように、追いかけた。

その間も胸騒ぎは止まなかった。

暗い道を歩いていくカクさんをわたしは一心不乱に追いかけていた。