食事のあと、気になっていたことがあった。
カクさんの探している異世界が見つかったのかどうか。
もしそうなら、大発見だ。
「カクさん、異世界は見つかったんですか?」
するとカクさんはいつもの笑顔でこう言った。
「……見つからなかった」
見つからなかった。
そう聞いて、がっかりしてしまう。
「でも、確証は持てたよ。必ず異世界は存在する」
それで、少し安心する。
カクさんの研究は上手く行っている。
それは家族として、嬉しかった。
それから、カクさんは部屋にこもった。
今日の研究をまとめるらしい。
わたしは居間でテレビを見ていた。
……実はわたしは今までほとんどテレビを見ることなんてなかった。
この前まで自分の部屋にこもっていたから。
変わったな、と思う。
それで。
これからもこの生活がずっと続いていけばいいのに。
そう思った。