夕飯前とは言っていたけれど、夕飯を作るのはカクさんだ。

そのカクさんが帰ってこなければ夕飯はない。

それに、帰ってきて疲れているカクさんに夕飯を作ってもらうのは悪い気がする。

だから、

「……わたしが作ろう」

それで、カクさんを喜ばせてあげたい。





食卓の上に置かれていたビニール袋を覗く。

ニンジン、じゃがいも、ネギ、豆腐、肉……様々な食材が入っていた。

カクさんは今日の夕飯を何にしようと思っていたんだろうか。

……想像がつかない。

いや、わたしに作れる料理を作ろう。

……想像がつかない。

そもそもまともに料理なんてしたことがなかった。

そんなわたしでも作れるものってなんだろう。

目玉焼き?朝食じゃないしなあ。



……そうだ、家庭科の教科書にメニューが書いてあった気がする。

そう思って、あまりなじみのない教科書をめくる。

……あった。

その中でもポピュラーなもの。

カレーだ。





幸いにもビニール袋の中身と棚をあさって出てきたカレー粉がある。

これだけあればカレーが作れる。

……ネギと豆腐は使わないよ?