学校に行くだけの毎日が、変わった。

家に帰ると、カクさんが待っている。

それで、カクさんと話をしよう。

大した事じゃないと思うかもしれない。

けれど、わたしの世界が広がったと思う。

世界が。





「この世界には桃源郷が存在するんだ。いや理想郷かな?」

夕飯のときのカクさんの話もよく聞くようになった。

実のところ、今まで大して聞いていなかったんだよ、うん。

相変わらず話はわからないけど。

「でも世界の定義が何かが不明なわけ」

さすがに家族が何の研究をしているのかは気になるわけで。

「その研究、なんて言うんですか?」

まずそこから聞こうと思った。

「……うん、最初から話そうか。カナコちゃんが興味を持ってくれたようだから」

カクさんも今までわたしが聞いてないと知っていて話していたんだろう。



「――『異世界予想の証明』」

『異世界予想の証明』?

「この世には説明し切れない事象がある。それをこの世に影響を及ぼす異世界の存在を認めることで説明しようとする予想の証明を研究しているんだ」

そんな無茶な話があるのだろうか?

確かに、ない、と否定できないけれど。