風の強い夜だった。

異世界からの扉が開き、男がひとりやってきた。
いや、逃がされて来たの方が正しいのか。

男の話はとても信じられない内容ばかりだった。しかし、その真剣な眼差しや姿勢は嘘を言っているようには見えなかった。

夜が昼より長い都市。
発展した文明技術。
黒い羽根を持つ人種。
人造人間。

その全ての内容がゆっくり、詳しく説明される。
それはまるで物語のようでバカバカしいとも思った。

男はその世界で人造人間の研究をしている科学者で、国家反逆罪の濡れ衣を着せられ、間一髪で逃げてきた。
なんて誰が信じるのだろう。

しかし好奇心がつい耳を傾けてしまう。
それに、真実にしても嘘にしても、よく出来た話だ。