ジョンソン・ウェイトン商会は、つい二代前に出来たかなり新しい店だ。
外観は白のロココ調。二階建。
窓は比較的大きく切り取られ、ショウケースには美しく飾り付けられた品物が、今にも私はここよ、と言わんばかりに輝いている。

さて、この店、何を売っているかと聞かれれば、女性が喜びそうなもの、としか言い様がない。
純白のトーションレース、ブルージーレース、ドイリー、色とりどりのリボン、サテン刺繍、ベッドリネン、テーブルセンター、サシェ。とにかくもう、女の子が大好きな「さあ私を御覧なさい!」といわんばかりの愛くるしい品物が多い。店の色なんかも、パウダー系や濃いピンク、赤や白や金色や緑といった鮮やかな色。
つまりは、だ。

男が一人では非常に入りにくい店、というのはお分りいただけるだろう。

そんなジョンソン・ウェイトン商会にアルバートは着くと、彼はリボンの一等端に書かれていた『これを胸につけろ』という指示に従って黄色の蔓薔薇を胸に差して店に入っていった。

扉を開いた瞬間。

彼は扉を閉めたくなった。無理、無理。と心の中で何回か唱える。