蔦薔薇屋は見つけにくいところにある。
だが、それ相応に『目印』があるらしい。
知り合いからなんとか聞き出した情報によると(それも人づてらしいが)それは異常なほど見つけにくく、尚且つ目印すら見付けにくいらしい。
見つけにくい目印なんて目印ではないだろうとアルバートは苛々して灰色の空を眺めた。
今日も陰欝な曇り空な上、凍えるように寒くて手がかじかむ。
おまけに寒さで空気が乾いていて肌がかさつく。
天気としてはアルバートが一番嫌いな天気だった。
がらがらと辻馬車が道を駆け抜けていき、浮浪児が街角で花を売っている。
「旦那さま、旦那さま。花はいかがですか?」
「…」
近寄ってくる花売りの少女を一別する。
年の頃は十三ほどか。
汚れた顔とべっとりとした茶色の髪の少女だ。花籠を持ち媚びたような笑みを浮かべていた。
「買っていきませんか?」
花売りの少女はさらに微笑んでを差し出す。
だが、それ相応に『目印』があるらしい。
知り合いからなんとか聞き出した情報によると(それも人づてらしいが)それは異常なほど見つけにくく、尚且つ目印すら見付けにくいらしい。
見つけにくい目印なんて目印ではないだろうとアルバートは苛々して灰色の空を眺めた。
今日も陰欝な曇り空な上、凍えるように寒くて手がかじかむ。
おまけに寒さで空気が乾いていて肌がかさつく。
天気としてはアルバートが一番嫌いな天気だった。
がらがらと辻馬車が道を駆け抜けていき、浮浪児が街角で花を売っている。
「旦那さま、旦那さま。花はいかがですか?」
「…」
近寄ってくる花売りの少女を一別する。
年の頃は十三ほどか。
汚れた顔とべっとりとした茶色の髪の少女だ。花籠を持ち媚びたような笑みを浮かべていた。
「買っていきませんか?」
花売りの少女はさらに微笑んでを差し出す。