「那岐も狙えるんじゃない?」

「……冗談、」

「あら、大学って意外と楽しいのよ?」


放任主義を基本にしている両親に育てられた私は、勉強も私生活も怠けきって生きてきた。

おかげで出来上がった頭は、振ったら音がするんじゃないかってくらいすっからかん。

もし、今から大学を目指すんなら、小学生のドリルから叩き込まなきゃ無理だろう。


「勉強なんて、今更」


……今更、遅いよ。


「県外に行っちゃうんだと思ってたのに、」


どうしてK大なんだろう。

県外に出て、良い大学に入った方が色んな道が拓けるのに。


悠里くんの考えは、到底、私みたいな凡人には分からないや。