彼女達に言われてから、私はバカみたいに悠里くんを避けた。

勘のいい彼にはバレバレだったみたいだけど、私なりに悟られないようにしてきたつもりだった。


「あら那岐、帰ってたの?」

「んー、」


冷蔵庫から出したペットボトルにそのまま口をつけると「まぁ、お行儀悪い」と笑うお母さん。


「そうそう、悠里くんねぇ、大学決めたらしいわよ」

「へぇ、どこに?」

「K大ですって」


テーブルに向かい合うように座ってケーキを出してくれながら、話を進める。


今日のおやつは私もお母さんも大好きなショートケーキ。


「え、K大……?」

「そう、びっくりよね」


成績優秀な悠里くんは、誰からも有名大学進学を期待されている、のに。

K大は決してレベルの高い大学ではなかった。地元の、一般レベル校。