「本当、勘弁してよ」

「……え、ちょっ」

「誰のせいでこんなに悩んでると思ってんの」

「……悠里、くん?」


こんなところ誰かに見られたら大問題だ。……って言っても、この時間に屋上に来る人なんていないけど。


「……俺が好きなのは、那岐だよ」


許容量オーバーで、悠里くんが何言ってるか理解するのに凄い時間がかかる。


「K大に行くのは、那岐と離れたくないからに決まってんじゃん」

「え、だって、」

「俺といると辛いなんて言われて、どうしようかと思って。仕方なく要に守ってもらうように頼んで」


……だから最初に会った昼休み、



『俺もお前と同じ、あいつの被害者ってこと』





「話すのも我慢して、メールも我慢して、」


表情は見えないけど、なんとなくどんな顔してるか浮かんだ。


ぎゅって苦しいくらい抱き締められて、どうしていいか分かんなくなった。