叶わなくても、最後に伝えたかった。これは私のわがままだ。


「もう、私のことは気にしなくていいから、その人のこと真っ直ぐ見てほしい」


一緒にK大に行きたいって思う人がいるなら、私のお守りなんてしてちゃだめだよね。

問題児の私と仲良しなんて、その子に思われたら大変だから。


「ありがとう」


ちゃんと笑えてるかは分からないけど、最後に泣くのは嫌だった。

泣いたら、私に甘い悠里くんはまたお節介を焼いてくるから。


「だから、勘違いしてるって」


校舎に戻ろうと悠里くんに背を向けると、後ろからそんな声が聞こえて。


ふわっと何かに包まれて、それが悠里くんの腕の中だって気づくのが遅れた。