「金ないから出られませんとは言わんよ、事情なら作ったる。あー、何がええ?受験?…せやった、自分ホンマ推薦いらんの?なら早う志望校決めやー。あ、原本にも言うとき。紙あるか?何やったら今あるからちょお待っ」
「判りました」
いきなり遮ったんで先生ポカーン。きっともう話してた内容なん忘れたんやろな。…あぁせや、主語抜けとる、主語抜けとるで俺。流石理系?理系やなかったかな…判らん、判らんねん、
ま だ 判 ら ん !
「先生、金なら気にせんでください。あぁ、気にしても出せんのか」
俺嫌味か。
「国、」
またまた遮るパシッという音。何でか判らんけど、俺笑っとってん。何とかなるやろ、的な?…ちゃう、あいつらのこと思い出したんかな。阿呆やなぁ、俺オカンみたいやろ。せやねん、好きやで、あいつらみんな。
紙切れを先生の鼻先に見せ付ける(これさっきの音な)。それ何の意味もあらへんがな。けど、決意表明宣戦布告、
「俺ら、全国行ってきます」
夏が始まる。
これは6月某日のことやった。