「毎日のように通ってたからさ、"あー、オムライスの子だ"って言いながら見てた。」

「オムライスの子って…」

「大智があの時名前聞けなかったから。」

あたしの知らないとこでそんなエピソードがあったんだ…

「ま、あの時の話はこれぐらい。まだ何か聞きたいことある?」


聞きたいこと…

「あ………」

「な、何…?」

あたしの顔を見て、少しだけ笑顔を引きつらせた遼。嫌な予感でもしてるのかな。

「遼さ、大ちゃんと女装してデートしたんだって?」

「……何で知ってるんでしょうか?」

「大ちゃんから聞いたの。あたしも見たけど可愛かったねー…」

「あーー、それ禁句っ!」

重かった気分が、遼のおかげで晴れてきた。

今1人だけでいたら、きっと不安で涙が止まらないだろう。


「そうだったね、楽しかった?」

「美憂意地悪だなー…まぁいいけど、あれが始めてだったんだぜ、女装したの。」

そんなに何度も女装してたら、ほんとに遼にそんな趣味があるって思っちゃうよ…


「そっかー…」

「もう二度とやんねぇよ、これから成長する予定だし。」

「それって身長がってこと?それとも精神的に?」

「どっちもっ!俺大人になって色々と大智抜かすから。」

色々って何だろう?