* * * * *
「つ……っ、次はっ!?」
「あ……あかん。もう、限界や……!!」
「……はぁ。じゃあ、次。
『龍魂呪術<ドラグーンスフィリベル>』」
――…あれからしばらく。
『火炎瓶<ファイアポット>』に続き、
『氷水園<グレイシスディティル>』、『空海混濁<コバルティダルタ>』、『衝撃波<アタクターダウン>』……
と、徐々に技のレベルを上げていき、俺以外の二人が限界近くなってきたらしい。
俺はと言うと、こんな、子供のお遊び程度なら到底封じたものが解放される様子もなく。
苦悩の色など微塵もない涼しい顔して平然と立っていた。
「ド……っ、『龍魂呪術<ドラグーンスフィリベル>』……!?」
「無茶言うな!あれは三年で習う上級魔術やで!?」
「ふーん……じゃあ、出来ないんだ?」
「あ、当たり前やろーーっ!!」
「俺だって無理だぜ、『龍魂呪術<ドラグーンスフィリベル>』なんて!!」
俺が首を傾げて至極不思議そうに問えば、二人とも声を揃えて出来ないと答えた。
俺は、休み時間も後僅かだし、早く終わらせたい一心で、ため息をついて、術を発動させた。
「じゃあ、この勝負、俺の勝ちと言うことで。
……『龍魂呪術<ドラグーンスフィリベル>』」
俺が術を発動し、俺の周りに青白い鬼火のようなものを浮かべると、二人どころか、俺の周りを取り囲んで見ていた奴らまでもが、信じられない、と言った表情で俺を見る。
正直に言ってしまうと、所詮こんなものかと思ってしまった。
俺は生まれつき魔力が強すぎる上にその量も半端なかったため、幼い頃はその魔力が暴走しないように俺の両親が術を施していてくれた。
しかし、その封術も、俺が15歳の誕生日を迎えると同時に解けてしまう。
だから、この時期が一番封術が不安定で魔力が暴走しやすい。
だから、もしもの時のためにこの腕試しにも一応警戒はしていたのだが。
どうやら、必要なかったらしい。
所詮、平均的な14歳の魔力値と言うのはこれくらいなのだろう。