―-「ちょっと!今の何?まる聞こえなんですけど!」


握っていたケイタイから、響いてくる声。

あ…。電話、繋がったままだったんだ。


―-「なんで、男?百花、彼氏いたの?いつの間に??」


興奮状態…って言うか、パニック?な沙織。


―-「なんで?そんな気配、微塵も感じさせなかったよね?昔からずっと…そういう話、全然しなかったじゃない?“男の子には興味ありません”みたいな感じで…」


沙織とは、中学時代からのつき合いだ。

“恋多き”沙織の話は、今までイヤと言うほど聞かされてきた。

そこまで話さなくても…ってくらいセキララに。


まあ、おかげで“疑似体験”できて知識が増えて、私としては大助かりだったんだけど。


―-「イヴだって、“家族と”過ごすから無理とか言ってたのに…って、何?まさか“結婚”しちゃったりしてないよね?」

「まさか。」


できるものなら、してしまいたいけど。



―-「昨夜、消えたのも“彼氏”に会いに行くためだったんだ?」