「私、今日はダメ。無理。前から言ってるでしょ?イヴは…」
勝手に話を進めて行く沙織に、抗議しようと口を開きかけた…とき。
「……モモ?」
ノックと共に声がして。
なんの遠慮もなしに、ドアが開いた。
そして、
「……使ってないなら、どいてくれる?」
やっぱりな、という感じでため息をつくと、千歳は私の腕を掴んでトイレの外へ押しやった。
「ちょっ…私、今電話中。」
「それは、ここじゃなくてもできるだろ?」
「そうだけど…」
「つーか、これ、俺の服。勝手に着てくなよ。探しちゃったじゃん。」
そう言って、私の着ているスウェットに手を伸ばす千歳は上半身裸のままで。
「……寒そう。」
それを見て急速に速まる鼓動を誤魔化しながら、私はぼんやり呟いた。
「そう思うんだったら、さっさとそこどいて。」
私をベッドのほうに促して、ドアを閉める千歳。
……あーあ。
―-「百花?」