「さてと…」
香澄のベッドの横に
丸椅子を移動させ
アニキが腰掛けた
「香澄ちゃん
あさってからの一時退院、
医長の了解も得た
ムリしないように
過ごすこと
いいね?」
「はい」
ベッドの上に座った香澄は
返事をすると、
俺の方に笑顔を向けた
「ただし…
激しい運動は、なるべく、
避けるように…
わかったかっ?」
ベッドを挟んで、
向かいに立っていた俺に
視線を送り、最後の言葉を強い声で言う
「ぁんだよっ!
俺が何かすると思ってンのかよっ?」
反抗的にアニキに言葉を投げると
「あったりめぇだろっ!
香澄ちゃんより、
お前の方が心配だっつーのっ
激しいのは、すんなよっ!
お前のことだから、
加減っつーの、知らねぇからなぁ
香澄ちゃん、
激しくなりそうだったら、
ぶっとばしていいからな」
アニキのヤツ
言い聞かせるように
香澄の肩を軽く叩きやがる
「ったく!
何言ってンだよっ!
ホントに、アニキ、医者かよっ!」
口の悪いアニキの言葉に
楽しそうに笑う香澄が
俺は、
愛しくて堪らなかった