「うーん…
あんま、遠くはムリだからなぁ…
ここの温泉なんかどう?」
「うん、いいかもー」
ピンクに染まった頬を
俺の方に向け、
答える香澄
そんな香澄の姿を見ながら
過去に出逢ったオンナたちとは
味わえなかった幸せという感情を
噛み締めていた
「でも、
隼人、勉強の方は大丈夫なの?
院へ進むの辞めるって
言い出すと思ったら、
医学部、目指すって言うんだもん
隼人って、
面白すぎっーー」
意地悪く、
ケラケラと笑う香澄の耳朶を
かじってやった
「…っ―――、ちょ…隼…人…
ココ、病室…
って…わかってるっ?!」
「わかってるってぇ
いいだろ…少しくらい…」
香澄の首筋に
俺の唇を
触れるか触れないかくらいの強さで
押しあてた
「んっ、も…ぅ…」