「隼人…くん…
私、
髪の毛も抜けちゃって…
醜いでしょ…?
わかるの…
わかってるの…
もう…
私の身体、元には戻らない…って
誰にも…
必要とされない…
だから…
私、もう…」
声を震わせながら
俺に訴える…
「香澄さんっ
そんなコト、考えんなよっ!
誰が、戻らないっつった?!
誰が、必要ないっつった?!
そんなコト言うヤツ
俺が許さねぇっ!
それにっ
俺が、俺が香澄さんを必要としてるっ!
俺が、香澄さんと一緒に
病気と闘ってやるっ!
俺が…
俺が、香澄さんを守るっ!!」
「隼人…くん…
な…なんで…?」
フェンスにかける俺の手に
彼女の手が重なった
細くて冷たくて…
この手を
この身体を守りたいと、
本気で思った
「決まってんじゃん
香澄さんが
好きだからだよ…」
俺の言葉を聞くと、
その場に座り込んで
泣きじゃくる彼女…
後から屋上へ駆け付けた
アニキと
看護師さんたちと
彼女を助け出し
冷たく震える彼女を
春の冷たい空気から
守るように
抱きしめた…