啓太 ―


帰りに啓太の家に寄った。

「あら、美春ちゃん。お誕生日おめでとう」
明るくおばさんが迎えてくれる。
「こんにちは」
部屋には啓太の写真が何枚もある。
そこに一緒に写る私。それは今とはやっぱり違かった。
変わらないわけがなかった。


「もう3年ね」
「…」
「啓太のこと、忘れては欲しくないわ。でも美春ちゃん。啓太を気にして生きてはダメよ」
「えっ…?」
「その事だけは、忘れないで」



「啓太、またくるね」
そう言って、すぐ目の前にある家へ帰った。

いつもは開けないポスト。
開けたのはなぜだろう。
『美春へ』
切手のついていない手紙が一通、入っていた。