――― 呆れて、物も言えない





『 …あら 大人しいね
怒って走って
帰る!とか言うと思ったのに 』



「 …こんな一斉射撃の気配の中で
そんな勇気ある奴がどこに…

―― それにあんたら、
俺がどう思おうが
自由にする気なんかないんだろ?
…この様子だと 」




『 懸命だね 阿部くん

まあ確かに、キミがなにを思おうが
雨が降るワケでも、
ヤリが降るワケでも無いしね 』


「 は…
その言い方だと、青戸が何か思ったら
ヤリが降るとでも… 」





―――― 部屋を包む闇に
その言葉を言った途端
静寂がプラスされ、誰も笑わない



「 ちょ…
あんたら本気で、そんな事考え 」



『 それでは少し、
青戸リルカの情報に行こうか 』



学園長の言葉で、ゆるく顔をあげた空中

俺の映像が相変わらず映された隣に
新たな、青戸リルカのデータが表示された


声が響く




『 青戸リルカ 性別 女性、 17歳

家族構成は、
都内企業に勤務する母と二人暮らし


趣味は買い物
性格は、至って普通

―― ただ、問題はね


新任で入って来た
理科教師兼、神父の『アベ ユウジ』

キミの事を、
好きになっちゃったっていうのが
かなり問題なんだな

気が付いてるんでしょ?もちろん 』



「 ―――…… 」