学園長の声で
突如、空中に現れたスクリーン
そこには俺の顔写真と
詳細に書き込まれたデータ
『 対象は、アベ ユウジ 22歳
御手元のモニターを御参照の上
お聞きになって下さい
表の顔はミクロユニ・生命化学研究所
企画二課の社員であります
性別 男性、独身
この学園に、
教師兼任で送り込まれる少し前までは
同じ大学に通っていた女性と
三年間交際をしていた様ですが
入社しばらくして、
彼女から、ゴミの様にフラれています 』
" おお… "と哀れむ様な
老人達の声が響く
「 …ちょっ
ふざけんなよお前ら!!
こういうのってプライバシーの
侵害じゃねえのか?!
それにゴミみたいにじゃねえよ!
ケンカはしたけど、円満解決だ!! 」
『 阿部く〜ん
スパイが、なに言ってるのかな?
あと、立ち上がらないでね
君、背が高いから、
カメラに入り切らなくて非常に困るんだ
目線はなるべく、
あの赤いランプから外してね 』
「 なに映してんだよ?!
は…はやく理由を言えよ理由を!! 」
『 …ふむ
若者は、気が急いていて困るね…
ではまず
この" ノストラダムス計画 "について
説明して行こうか 』
「 ―― ノストラダムスって…
あの…? 」
『 いやいや
何十年も前に、
日本限定で流れた終末思想
かの占星術師が書いた予言詩とかは
まるっきり関係ないよ
ノストラダムス
これはそもそもがラテン語で、
ノートルダム
" 我らが貴婦人 "という意味なんだ
まあ、
世界の命運を握っているという事でなら
多少共通性はあるかもしれないがね 』
「 …… 命運 って… 」
『 そう
世界の命運は、青戸リルカ
彼女が今、握っているんだよ 』