下校時間を知らせるチャイム
一日を終え
ぐったりと肩を落としたまま
校庭の日影に生えた梅の木を眺める
昨日までは、ただの枝
この暖かさで今日、突然咲き始めた
「 阿部セーンセ?
顔色悪いですねえ
本当に風邪ひいちゃったかな… ? 」
さすが監視役というべきか
藤本が突如として現れ
額で具合を見ようとしてくる仕種に驚き
かなり遠くまで移動した
「 … やめろって!
なあ…
なんかもう俺…
このままサラっと学校やめて、
どっか行っちまった方が
いいんじゃないのか? 」
「 余程、朝のガードの状態が
堪えました? 」
「 当然だろう…!
それに
あ… あんなモノつけてるなんて
上の奴らが付けさせてるのか?
ちょっと可哀相だろうが! 」
「 え… 何がです? 」
「 ―― シールだよシール!!
…張ってない奴らもいたけど
善とか悪とか!
おまえまでオデコに付けてるそれだよ!
なんの意味があんだそれは!
赤組白組みたいに分けて
ゲームでもやってんなら趣味悪いぞ 」
藤本は興味深そうに
瞳を輝かせて聞いて来る
「 ―― 珍しいパターンです
詳しく何が見えるのか、
教えて頂けます? 」
「 だから… シールだって 」
「 …おもしろいですね
ではあそこに歩いている
現国のサワディー先生
あの方は、どんなシールを? 」
「 おまえ、目 良くなかったか?
サワディー先生はインドの人だし
いつも額に…
今日はいつもと若干違うな
" 白 "のシールだ 」
「 ―― では、僕は? 」
「 …おまえ自分で貼ったんだから判 」
いきなり腕を引っ張られる
「 阿部先生!
ちょっと楽しいから、
駅の方まで行ってみましょうよ!
すぐそこですし! 」
「 お、おい!! 」