翌日の早朝

雪は、土の上や
日影の場所に残るばかりで
道路に張っていた氷は、
明るい陽射しの中、すぐに水へと変わる


教職員マンションから歩き
学園に着く頃には、
コートの下がすっかり汗ばんでいた




見慣れた校庭に足を踏み入れ
ホッと息をつき

昇降口に向かう生徒たちに、挨拶を送る




「 おはよう! 」


「―― おはようございます 阿部先生 」



「 …おはようございますわ 」


「 …… ざいます 」





   なんか変だぞ


いつもきゃらきゃらと
騒がしい位に人懐こく
挨拶を返して来るはずの視線達が
無機質で冷たい ―――



はたと気付く



「 … そうか…こいつら

全員、青戸のガード か…… 」




振り上げた手を降ろし
針のムシロ状態で、職員室へと入った