フードの下だからフィルリアの顔は今一良く見えなかったけど、俺には泣いている様にしか見えなかった。

幾ら、こんな男みたいな奴だからって放っとけねえよ。

男は女を護るもんだろ。

「フィルリア、俺達はダチだろ。

ダチが困ってたら協力しない訳無いだろーが。」

「……其の心、貰っておくぞギルバート。」

フィルリアの口元が笑ってた。

俺はフィルリアの笑った顔が大好きなんだ。

だから、笑っててほしい。






「此から、聖宿祭を始めます。」

町の中心の礼拝堂に集まると、聖宿祭が始まった。

やはり此処は礼拝堂何かじゃねーよな。

こんな闘技場くらい広い礼拝堂、他には無い。

神の数と好まれる、十三段の階段。
大理石の廊下には赤い絨毯が敷かれている。
最後部には法皇の特等席の神の椅子が一つ。

昔から俺は聖宿祭は嫌いだ。
一時間も立ちっ放しで、むさ苦しい人の群れの中にいなければいけない。
然も、法皇の話を聞くだけだ。

時間の浪費だと思うが、聖宿祭に出ないと教団が指導しにやって来るんだ。
反省文も書かされるしな。

だから今ざわめいてるのは、町の人々のちょっとした反乱だな。
本当は聖宿祭何かやりたくねーんだよってな。

「静粛にしろ! 此の庶民共が!!」

強い怒声に一気に皆が靜まる。
毎年のお決まりだ。

「あの女は誰だ?」

フィルリアが小声で聞いてきた。

怒声の主の彼女は守護隊長リリー。
王家直属の“海峡の軍勢”を仕切る、初の女騎士だ。
デカい態度のせいで、嫌われているが……
俺はどちらかというと好きだな。
其れにどっかフィルリアと似ているしな。

「あんな綺麗な女性と俺が似ている?」

「あー、内面だけな。」

フィルリアのアッパーが鳩尾に一発……

容赦ねえな……