「やっやめろケリアのババアがっ! 放せやごらぁっ!?」

「あんたは女の子何だから!
もうちょっと淑やかになさいなったく!

大体、私はまだ現役じゃい。」

ケリアと呼ばれた女は、バンッとフィルリアをベッドに投げ込んだ。
確かに小太りのせいか少し老けて見えるが、顔はまだ若い。

「いってぇ!」

頭を抱えながらフィルリアは仰け反った。

勿論、投げられたのは布団がクッションになったのだから対した事は無い。

さっきの鉄拳の真の恐ろしさは、殴られてから数十秒後。

瘤がじわじわと痛み出すのだ。

「ギルバート!

あんたもサッサとお着替えなさいな。

今日は聖宿祭だよ。」

聖宿祭――――

此の言葉を聞くと二人は血相を変えた。

「じゃあ準備が出来たら下まで降りといで。

朝ご飯、用意してあるからね。」

ケリアは黒いローブを二枚、二人に押しつけると出ていった。

ドアが閉まる音と、地響きが、沈黙の屋根裏部屋に圧し掛かった。