「おいっ」

俺を呼ぶのは誰だろう。

俺は、誰なんだろう。

「……起きろ!」

誰だ?

「起きろっつってんだよ小僧!」

痛っ!

頭に激震が走る。

母さんか?

「俺が何時、お前のお袋になった。」

じゃあ……俺は死んで、天国の父さんの元へ来たのか?

「俺が何時、お前の親父になった。」

じゃあ……俺に生き別れの兄さんが居て……

「俺が何時、お前の兄貴になった。」

じゃあ……

「もういいわ!

俺はアイラ・ウォークス。」

何処かで聞いた名前だな。

……そう、守護隊長のアイラ・ウォークスだ。

聖宿祭にいて……

フィルリアと戦って……

嗚呼、全部思い出した、あのおぞましい惨劇……

「俺は……ギルバート・クリスター。」

目を開けると、此処は見知らぬ土地だった。

と言うより、何もない。

延々と広がる荒野。

枯れた木々に、岩に、干乾びた地面。

空も無い。

上に見える、黒い機械的な天井。

「地下なのか……?」

俺の呟きにアイラが即答する。

「みたいだ……

過去に呼んだ聖文書に書かれていた。

煌の力は生の力、地底の楽園への扉を開く。

然も厄介な事に、地底都市はティアズ聖国の正反対に位置する、フィライド帝国に在るとされてんだ。」