『私は、本宮藍弥。よろしくね?』
 『うん。藍弥は、誰を見守っているの?』
 咲希乃が聞いてくる。
 咲希乃って本当に天使って感じがする。
 『私は、あのひと。髪の色がハニーブラウンで、背が高い人。』
 たくとを指差す。
 『あのひとかー。モテているね。というか目立つー!彼氏だったの?』
 『うん。死ぬ前まで。』
 たくとってやっぱモテてる。
 『そっかー。私はあのひと。赤色の髪で背が高くてヤンキーっぽい人。』
 咲希乃が指をさす方向を見る。
 『え?!松坂尚人ぉー?!』
 本当にいがい。松坂尚人とは…。
 『え?知ってるんだ。尚人って有名なんだー!』
 呼び捨てとは…。
 お嬢様っぽい咲希乃と超ヤンキーな松坂尚人が…。
 『咲希乃と松坂尚人って恋人…とか?』
 恐る恐る咲希乃に聞いてみる。
 咲希乃は顔を赤く染める。
 『そんなコト…ないよ?尚人と私は智ダチ。でも、両思いだったんだ。親が反対して…。』
 咲希乃の親は正しい!
 松坂尚人は本当に荒れててやばい、ヤンキーなのだからさー。
 『私の家、お金持ち…なの。』
 やっぱりね。うん。
 『それで?』
 『私、体弱いし、ヤンキーと一緒じゃ駄目って言うし、家の事を考えて。家は病院なんだ…。』
 ヤンキーは駄目ですよ。そりゃ。たくとも十分ヤンキーだけど私も…ってことはないけど。私は平凡な女の子だし。
 咲希乃は普通の女の子じゃないもん。
 『だよね…。』
 『私ね、病院で死んだんじゃなくて、尚人にこっそり会いにいったんだけど、喘息おきちゃって尚人の腕の中で死んだの。』
 うぅ…。
 せつなすぎるよ。
 『尚人、私をころ出しただの言われてる。私の事恨んでいるんだろうな…。』