そしたら、一滴の涙が流れた。
 それを合図に涙が次々と流れた。
 『…たくとだ。』
 『あや、大丈夫?』
 本当にカナルって優しい。
 『たくとって名前。赤城たくと。私の彼氏だったの。私、思い出したんだ。たくととデートの約束しててそれでね…』
 涙がすごく出てきて美味く喋れない。
 『そっか。あやは、たくととデートの約束してて、待ち合わせ場所に行く途中に事故にあったんだ?』
 カナルっていろんなことしってるんだ。
 カナルってすごい。
 『そうだよぉ…。うわぁん』
 涙があふれだしてくる。
 『あやが死んで3ヶ月くらいたつ。』
 3ヶ月も?
 『3ヶ月もたつの…?』
 『うん。あやはずっと眠ってた。と、言うより出口を探してた。でも、それは、天使の入り口だったんだ。』
 入り口かー。
 『今日はたくとのことを見ているだけにしよう。僕は、ちょっと用事があるから行くね。初日なのにごめんね。』
 申し訳そうな顔。
 『ううん。カナル。忙しいもんねー。頑張ってきて。』
 カナルは、白い光とともに消えた。
 たくと。貴方は私がいない間どういう生活をしてきたの?
 『あなたも天使なの?』
 優しそうな甘い可愛い声が聞こえてきた。
 振り向くと、声のとおり優しそうで可愛い女の子がいた。
 『そうだよ。あなたもってことは…あなたも天使なの?』
 『うん。私は、川崎咲希乃。』
 咲希乃ちゃん。
 可愛い名前だ。