聖との共有は、今に始まったことではない。

聖と出会った時から、共有はもう始まっている。

「へえ、そうですか。

てっきり女かと思いました。

西山部長も、ついに結婚なさるのかと」

ニタリと眼鏡の奥で笑いながら、東雲が言った。

結婚――その単語が、ズシリと僕の胸の奥にのしかかった。

僕と聖。

彼女と一緒に暮らした時間は長い。

彼女と一緒に生きてきた時間は長い。

彼女と一緒に共有した時間は長い。

全てがこんなにも長かったら、結婚するのが当たり前だろう。