まだ何かあるのかと言うように。

聖の言う通り、まだあるよ。

お前に絶対に言うことが1つだけある。

「――愛してる」

そう言った僕に聖ははにかんだように笑うと、
「私も」

自分から僕の唇に、自分の唇を重ねた。

触れるだけのそれは、すぐに離れる。

それが離れたのを見送ると、
「じゃ、行ってくる」

「気をつけてね」

僕は家を出た。


仕事の合間、僕は何度も携帯電話を見ては聖からの着信を確認していた。

今のところは特になし。