翌日の朝。

「じゃ、行ってくる」

「行ってらっしゃい」

いつものように、僕は聖の手からカバンを受け取った。

「誰がきても、絶対にドアを開けるなよ。

僕が帰る時はちゃんと電話するから」

「うん」

「それから、何かあったら電話してくれ。

常に携帯電話の電源をオンにするから」

「わかった」

聖が首を縦に振ってうなずいた。

「後…」

そう言いかけた僕に、
「後?」

聖は首を傾げた。