「何?」

聖が聞いてきた。

「――最近、何か変わったことあったか?」

僕の質問に、
「何にもないよ。

急にどうしたの?

何かあったの?」

聖が首を横に振った後、僕に聞き返してきた。

僕は靴を脱ぐと、リビングへと足を向かわせた。

「ちょっと、春ちゃん」

聖が後ろを追いかけてきた。

「ねえ、会社で何か嫌なことがあったの?」

今に始まったことではないけれど、聖に隠し事は通用しないと思った。