2人はその足でリビングを出て行った。

しばらくすると、ドアの音が聞こえた。

どうやら、本当に帰ったようだ。

本当に帰って欲しかったのだけど。

再び訪れた沈黙を、
「――春、ちゃん…?」

破ったのは、聖からだった。

小さなその躰が震えている原因は、他の誰でもない。

この僕である。

僕のせいで、彼女の躰が震えているのだから。

「――さっきは、ごめん…」

そっと躰に触れていた腕を離すと、聖と向きあった。