でも…聖に狂わされるなら、本望だ。

このまま狂って、死んだって構わない。

「――聖…」

狭いバスルームの中で、聖の名前を呼ぶ僕の声が響いた。

「――春海…」

聖が僕の名前を呼ぶ。

それにも、狂ってしまいそうになる。

「――ッ、あっ…!」

「――聖…」

彼女の耳に唇を近づけて、告げる。

「――愛してる…」


ぐったりと、僕の腕の中で聖が眠っていた。

濡れた髪は、聖が大人の女性に近づいていることを告げていた。